
メスカル、Santo de Piedra <サント デ ピエドラ>
メスカルとは、日本から時差15時間、メキシコで16世紀ころから作り続けられてきた、アガヴェというリュウゼツラン属の植物を主原料とする蒸留酒です。
1年のうち3ヶ月が雨季、9ヶ月は暑く乾燥し、海風を受ける土地にアガヴェを植え、日々その成長を見守ります。約10年かけて直径1.5メートルほどに育ったら、ようやく収穫です。乾燥厳しい気候のなかで、自らの水分と守るべく厚く硬く育った頑丈な葉を鉈で切り落とし、パイナップルのようなコロッとした見た目の「球茎(ピニャ)」を得る事ができます。
球茎(ピニャ)を、火山石や木で2日間燻し、ロバと石臼で挽き、搾汁したものを木桶で発酵させたのち、銅のポットで沸かし、川の水でゆっくりと冷やし、得られるのがこのメスカル、Santo de Piedra です。

アガヴェを原材料とするメキシコの蒸留酒といえば、テキーラが有名です。実は、テキーラのルーツはメスカルにあります。約200年前に、玉石混交であったメスカルの中で、主原料のアガヴェの種類・産地を限定し、工業化を進めるなど、安定した高品質で大量生産可能な商品とし、ブランディングを行ったものがテキーラといわれています。

メスカルは、いわばメキシコの「地酒」です。テキーラは1種類のアガヴェしか使用が認められていませんが、メスカルは52種類のアガヴェを用いることができます。産地もテキーラの5州(実際はハリスコ州に集中)に比べ、9州が認められています。
テキーラは熟成の度合いや熟成方法によるバリエーションが豊富ですが、メスカルは原材料の品種や産地の特性のバリエーションが豊富なため、
アガヴェ本来の個性を味わう
という楽しみ方ができます。

Santo de Piedra は、エスパディンというアガヴェを100%使用し、アガヴェの生産者が蒸留までの全工程を行なっています。
Santo de Piedra という名前は「聖なる石」。「石」とはピニャを燻すときに使われる火山石のことです。この燻しの工程により、Santo de Piedra は美しいスモーキーフレーバーを纏います。
熱を加えることによって糖化されたピニャを、ロバがせっせと石臼を回して絞ります。そうやって得られた液体を木桶で野生酵母によってアルコール発酵し、2度蒸留する。
500年以上前から続く伝統的な製法は、決して大量生産には向いていません。
しかし、時間と手間ひまをかけて作り出された Santo de Piera には、ミネラル感と柑橘様のフレーバー、クリーミーで滑らかな舌触り、エキゾチックなスモーキーさが長く続く余韻と、複雑な美しさがあります。
Santo de Piera を作り上げるまでの全ての要素が、この味わいを生みます。
ラベルにはロットごとの本数とシリアルナンバー、そして、蒸留責任者の直筆サインが入っています。それは、10年かけてアガヴェを育て、蒸留まで見守ってきた人による、品質と責任の証です。
瓶もまた、職人よって手作りされた再生ガラスのもの。一つとして同じものはありません。