「飲んで、出会って、つながってほしい。」
昨年7月の西日本豪雨災害で多くの酒蔵もダメージを受けてしまった広島のお酒を飲むことで、それぞれが広島と繋がるようにと、広島県、広島県酒造組合の協力を得てプレジデント社が企画・運営した、とにかく熱いイベントが、2019年3月9日(土)の午後、青山スパイラルホールにて開催されました。
まだまだ造りの時期のさなか、貴重な時間を縫って22もの蔵が集まり、33もの蔵のお酒が並び、恵比寿「GEM by moto」千葉 麻里絵さんプロデュースによる本気のペアリングを体験できるとあって、250名分の前売り券は発売数時間で完売となりました。
千葉さん監修のペアリングは、4つのお酒タイプごとに、双方の魅力的な個性を引き出し合うフード2種類を体験できるというもの。
まずは「A 果実や花のような香りで、華やかだけどすっきり系」のお酒6種類と、「アボカドの西京漬け」と「苺と春菊の白和え」。
お酒の香りの成分と、オリーブオイルやアボカドの脂肪酸が共通項となったり、白和えの春菊の苦味によって、苺の甘みが引き立って、乳酸感のある美味しさを感じられたり。春らしさも感じられるウキウキなペアリングを楽しめます。
次は「B 洗練された穏やかな香りで、バランスの良い食中酒系」のお酒に、「魚のフリット タルタルソース」と「ポテトサラダ 塩昆布」のペアリング。Aに比べて香りは控えめの、メロンやバナナのような、瓜っぽい印象の穏やかな香りに、お米の甘い旨味が広がり、食べ物に寄り添うタイプのお酒です。広島は他県のものより少し重厚感があると言います。漬物入りのタルタルソースの酸味、ポテトサラダの塩昆布のミネラル感との相乗効果も楽しめました!
そして「C 円熟した甘味とコクがある、味わいしみじみ系」のお酒には、「八角香る牛肉まん 燻製ナッツ」と「セロリのココナッツおひたし」と。
お米本来のコクや旨味を持ちながら、同時に直線的に、縦に広がる印象があり、ながーくじんわり飲み続けられるような心地よいお酒。そこに、ココナッツや八角といった個性的なスパイスを加えることで、絶妙な複雑味が生まれます。
最後は「D 味が重層的で、複雑味が広がるしっかり系」に、「蕗と羊チーズのマカロニサラダ」「いちじくがっこチーズ」の組み合わせです。酸味・甘味・熟成感がしっかりあり、味の幅も広く複雑味のあるお酒に、骨太な酸味・複雑な香り・苦味のありフードをかぶせることでより重層的な展開を見せるペアリングです!
他にも、被災した於多福さん、龍勢さん、白鴻さんの3蔵の、スペシャルカクテル・スイーツや、梅酒やレモンジンジャーなどのリキュール、スパークリング、濁り酒も揃い、本当に多種多様なお酒の楽しみ方を体験できました!
極め付けには、神楽坂「蒼穹」の多田さんと、三軒茶屋「ジョーズマン2号」のジョーさんによる、ロングセラー酒のお燗酒コーナー!プロの技で温められることで現れてくるお酒の表情に、散々飲んだ人たちも再び驚き感動し、美味しいお酒は私たちを底なしにすることを知らされるのでした。。。
このイベントには、広島から東京から、日頃から広島酒を愛し広げている酒販店さん、有名飲食店さんなどなど、たくさんのプロがスタッフとして参加しました。蔵元さんも、スタッフも、お客様も、広島酒への思いに満たされた、とても幸せな3時間でした。
この時間をきっかけに、多くの人の心に広島のお酒が、そのお酒に関わっている人たちの思いが染み込んだことと思います。
まだまだ、復興途上で、踏ん張り続けなければならない酒蔵さんもあるのが現状。「飲んで、出会って、繋がって」、そうすることによって、みんなで前に進む力になるんだと確信しました。